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医療関係者のみなさま

特集第2弾!高血圧治療ガイドライン2009年度版(JSH2009)

松岡博昭先生

Guidelines for the Management of Hypertension 2009

松岡博昭
獨協医科大学循環器内科教授
(現:獨協医科大学名誉教授/宇都宮中央病院院長)

背景

日本高血圧学会(JSH)では2004年に高血圧治療ガイドライン(JSH2004)を発行したが,その後,降圧薬の有効性に関して多数の大規模臨床試験が実施され,日本人を対象とした試験結果を含む多くのエビデンスが集積されてきた。さらに,近年では食生活の欧米化を背景に,肥満やメタボリックシンドロームなどを合併する高血圧患者も増加しており,高血圧以外のリスクや他疾患をも考慮した治療が重要となってきた。こうした状況を背景に,JSHではJSH2004を改訂してJSH2009を発行した。

概要・改訂のポイント

1.リスクの層別化

JSH2004では,血圧分類として軽症高血圧,中等症高血圧,重症高血圧と分類されていたが,各々I度,II度,III度高血圧と分類名が改められたほか,JSH2009では血圧分類として正常高値(130-139/85-89mmHg)が加わった。また,危険因子をリスク層の第1層から第3層に分類し,第2層にはメタボリックシンドロームが加わり,第3層には慢性腎臓病(CKD)が追加された(図1)。

図1

2.降圧目標

JSH2009では,心血管イベント抑制における24時間に渡る厳格な血圧コントロールの重要性から,診察室血圧および家庭血圧両者それぞれの降圧目標を設定した。降圧目標値については,診察室血圧に関して,JSH2009では新たに心筋梗塞後患者130/80mmHg未満,脳血管障害患者140/90mmHg未満が加わった。さらに,家庭血圧の降圧目標値がより具体的に設定され,高齢者135/85mmHg未満,若年・中年者125/80mmHg未満,糖尿病患者・腎障害患者・心筋梗塞後患者125/75mmHg未満となった(図2)。

図2

3.治療の基本方針

初診時の高血圧管理計画について,JSH2004での血圧130~139mmHg/80~89mmHgでは糖尿病・慢性腎疾患があれば適当な降圧薬治療開始の記載がJSH2009ではなくなり,その代わり正常高値群でも糖尿病・CKDを含めた臓器障害や心血管病があれば高リスク群として管理することに変更となった。

4.降圧薬治療

主要降圧薬として単剤もしくは併用使用を目的に最初に投与すべき降圧薬は,JSH2004では,Ca拮抗薬,ARB,ACE阻害薬,利尿薬,β遮断薬,α遮断薬の6剤であったところが,JSH2009ではα遮断薬が外れ,1)降圧薬は1日1回投与を原則とするが,24時間にわたって降圧することがより重要であり,1日2回の分割投与が好ましいこともある。2)降圧目標を達成するためには,多くの場合2,3剤の併用が必要となる。その際,少量利尿薬を積極的に併用すべきである。3)合剤により処方を単純化することはアドヒアランスの改善,血圧コントロールの改善に有用である,等の詳細な記載となった。併用療法については,JSH2004からβ遮断薬とα遮断薬の併用が外れた。
 また,主要降圧薬の積極的適応については,Ca拮抗薬では糖尿病が外れ,頻脈(非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)が追加され,ARBとACE阻害薬では蛋白尿,メタボリックシンドロームと心房細動予防が新たに追加された(図3)。

図3

5.心疾患合併例の治療指針

心疾患を合併する高血圧の治療について,JSH2004の虚血性心疾患の区分が狭心症と心筋梗塞後の2つに区分された。心筋梗塞後では,1)慎重に130/80mmHgまで降圧。2)RA系抑制薬,β遮断薬が第一選択で,降圧が不十分な場合には長時間作用型Ca拮抗薬,利尿薬を追加,さらに,低心機能症例にはアルドステロン拮抗薬の追加が記された。心肥大について,JSH2004ではRAA系抑制薬/長時間作用型Ca拮抗薬が第一次薬だったが,JSH2009ではRA系阻害薬/長時間作用型Ca拮抗薬が第一選択薬と変更された。

トピックス:心血管病の危険因子

心血管病の危険因子としてメタボリックシンドロームと新たに慢性腎臓病(CKD)を大きく取り上げた点が特徴的である。リスク層別化においてメタボリックシンドロームとCKDはリスクの高い危険因子と見なされ,メタボリックシンドロームを有していると正常高値血圧でも中等リスクに層別化され,また,CKDでは高リスクに層別化されている(図2)。また,2008年4月から導入された,心血管イベントリスクとなるメタボリックシンドロームを抑制する目的で制定された「特定健診・特定保健指導」に関して,JSH2009では,特定健診・特定保健指導における階層化において,中等・高リスクでは直ちに受診勧奨とし,I度高血圧で低リスクの場合では情報提供となるが,その場合には高血圧の診断を伝えると同時に,生活習慣の修正を指導するとの見解を盛り込んでいる。

 
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